住宅からマンション・施設など雨を受ける雨どい、なんとなく一般住宅では感覚で決めていた部分ってありませんか?
最近では許容量以上の雨が降り、あふれていることもしばしば(汗
(長時間にわたるどうしようもない降雨量は仕方ありませんが)
きっちりとした根拠のもと計算するために今回は雨どいの口径決定の方法について解説いたします。
ちなみに、私は京都の水道屋さんで17年以上勤務しております。資格は排水設備工事責任技術者・1級管工事施工管理技士を保有しております。
水道修理のことから水理計算方法まである程度の信頼の担保になると思います。
雨どいの口径決定手順
- 各屋根面積を求める
- ルーフドレンの数で割る
- 下階で屋根面積が合流する場合は累計する
- 立て管を表から口径を決定していく
- 横管は勾配を設定し別表から口径を決定していく
- 雨水槽がある場合はポンプ容量を面積に換算する
- 主管の口径を決定する
1.各屋根面積を求める
上記の参考図を例とし、屋根の水平投射面積(真上から見た面積)を求めます。
屋根部分は大文字アルファベットで表記しています。
A・・・20 × 15 = 300㎡
B・・・3 × 20 ÷ 1/2(壁面積なので1/2) = 30㎡
C・・・10 × 20 = 200㎡
2.ルーフドレンの数で割る
屋根面積に対して受け持つルーフドレンの数でさきほどの面積を割ります。
ここでは2本ありますので、2で割ります(めっちゃ単純ですが)
A・・・300㎡ ÷ 2 = 150㎡
B・・・30㎡ ÷ 2 = 15㎡
C・・・200㎡ ÷ 2 = 100㎡
3.下階で屋根面積が合流する場合は累計する
配管区間をカタカナで表記しておりますが、屋根面積の合流があるのはウ,エ,キの部分です。
ウ・・・15㎡ + 100㎡ = 115㎡
エ・・・150㎡ + 115㎡ = 265㎡
キ・・・265㎡ + 265㎡(もう一つルーフドレン分)= 530㎡
4.立て管を表から口径を決定していく
立管部分を下記の表を参照して口径決定していきます。
画像は私が作成している計算書の一部のシートですが、参照するのは青い枠の部分の表になります。
なお、降雨量は基本を100mmとしますが、各自治体の下水道条例に準じてください。
※こちらの表は(給排水衛生設備規準・同解説 SHASE-S 206-2019)より引用させていただいております
ア・・・150㎡ → 75mm
ウ・・・115㎡ → 65mm
エ・・・265㎡ → 100mm
と口径が決定されます。
5.横管は勾配を設定し別表から口径を決定していく
横管(横主管・横枝管・敷地雨水管)部分を下記の表を参照して口径決定していきます。
画像は私が作成している計算書の一部のシートですが、参照するのは青い枠の部分の表になります。
なお、降雨量は基本を100mmとしますが、各自治体の下水道条例に準じてください。
※こちらの表も(給排水衛生設備規準・同解説 SHASE-S 206-2019)より引用させていただいております
横管の場合は配管勾配も考慮に入れ、検討します。
イ・・・150㎡ 勾配が 1/100 とした場合 → 100mm
オ・・・265㎡ 勾配が 1/100 とした場合 → 125mm
カ・・・265㎡ 勾配が 1/100 とした場合 → 125mm
キ・・・530㎡ 勾配が 1/100 とした場合 → 150mm
と口径が決定されます。
6.雨水槽がある場合はポンプ容量を面積に換算する
今回は雨水槽からの合流があるということを仮定します。
雨水対象面積を計算しポンプ容量を求め、最後に屋根面積に換算します。
雨水対象面積を求めます
E(ドライエリア)・・・6 × 3 = 18㎡
D(ドライエリア上部壁面積)・・・6 × (24.0+2.5) ÷ 1/2(壁面積なので1/2) = 79.5㎡
合計は 97.5㎡
ポンプ容量を求めます
1時間あたりのドライエリアへの雨水流入量
100mm ÷ 1000 × 97.5 = 9.75m3
雨水排水ポンプ(30分)の容量
9.75㎡ × 1000ℓ/min ÷ 30min ÷ 60s/min = 5.4ℓ/s
屋根面積に換算します
5.4 × 36㎡(1ℓ/sあたりの換算値)= 194.4㎡(屋根面積)
7.主管の口径を決定する
先ほどのキまでの屋根面積と雨水槽からの屋根面積を合計して、主管の口径を決定します。
ク・・・530㎡ + 194.4㎡ = 724.4㎡
仮に配管勾配を 1/100 として200mmという結果が導き出されました。
Youtube動画でも解説してます
おわりに
今回は、雨どいの口径決定についてご説明いたしました。参考にしていただけたら幸いです。
動画の方でも公表しております通り計算書を、期間限定(2020.8.31まで)note記事に無料で公開しております。
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